リサーチコモンズとは・1

第4の科学的方法論「データ中心科学」の構築

情報通信技術(ICT)の飛躍的発展に伴い、ユビキタス化した情報空間に生きる私たちの生活からほとんど自動的に、時々刻々とデータが生みだされるようになり、これまでとは比較にならないほど飛躍的に大量の情報が蓄積されるようになりました。このようなデータをいかに組み合わせ、目的に合わせて有効に活用できるかが、ビッグデータ時代の産業、行政、科学技術など私たちの社会のさまざまな場面において、成否の鍵を握っているといっても過言ではありません。

科学技術の世界でも、地球環境や宇宙等の自然界、大学や研究所等の実験室で獲得されるデータがますます大量化し、このようなアカデミック・ビッグデータの効果的な開発と利用がイノベーションの鍵となっています。このような背景から、これまでの理論科学・実験科学・計算科学に続く第4の科学として、「データ(中心)科学」が、学術・社会課題を解決する研究戦略課題として、世界的に推進されています。

このデータ中心科学を推進するにあたり、われわれは3つの要素──データ、モデリング、人材育成──が不可欠であると考えています。まず地球環境、ライフサイエンス、人間・社会、学術情報、物理・化学などの科学的基礎データ等をビッグデータ的に活用するための基盤を、一刻も早く整備しなければなりません。そして"読み解く知"としてのモデリング・解析の手法を開発し、共同利用を促進するような基盤を提供しなければなりません。さらにこのような融合的な研究のプロセスの中に、人材育成を組み込むことによってこそ、これからの社会の基盤となるような持続的な研究発展のサイクルが実現できます。

データ中心科学「リサーチコモンズ」は、このダイナミックな活動を「データ基盤整備」「モデリング・解析基盤整備」「T型・π型人材育成」による三位一体の研究活動であると位置づけています。本ウェブサイトでご紹介する各データベースおよび各プロジェクトは、まさにこのモデルケースとして、大学や研究機関との連携を深めながら、生命科学、地球科学、人間・社会等それぞれの領域で、新しい研究成果を生み出しつつあります。さらにこのような活動がハブとなって、その成果・ノウハウ・人材を学術コミュニティへフィードバックすることにより、わが国の最先端的研究開発の中核的役割を果たしてまいります。

関連ページ