Science Report 058

IU-REALフロンティアコロキウム・サイトビジット2024
『「自然現象」を読み解いていく
 ~「古典籍」から「最新技術」までを使って~』

昨年1月、4年ぶりに開催されたフロンティアコロキウム。そこでのディスカッションを踏まえ、4機構が異分野融合・新分野創成に向けた活動を進める上でのアイデアを探ることを目的に、国文学研究資料館ならびに国立天文台へのサイトビジットが開催された。

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4機構の垣根を超え、様々な分野の研究者と議論し、一般社団法人大学共同利用研究教育アライアンスの支援を受けて、新しい展開を生み出す機会となるフロンティアコロキウム。昨年参加の多様な研究者により、国文学研究資料館ならびに国立天文台へのサイトビジットが実施された。

共通するテーマは「古典籍」。両機関が保有する古典籍と4機構17大学共同利用機関が持つ研究・人的リソースにより、どのような連携が図られるか、参加者からは具体的な連携策に加え、ユニークな提案や多様な意見が発せられ、興味深く聞き入る姿がとても印象的だった。

国文学研究資料館では貴重な古典籍の紹介のみならず、『本は眺めるだけでなく触ることも大事』とし、解体新書をはじめとする様々な原本に直接触れる貴重な経験となった。また、これまでの「国書データベース」の構築・公開に係る活動を踏まえ、2024年度からの10年計画で取り組む「データ駆動による課題解決型人文学の創成~データ基盤の構築・活用による次世代型人文学研究の開拓~」(国文研DDHプロジェクト)などが紹介された。

『書物をマテリアルとして捉える』として、デジタルマイクロスコープを用いた書物に含まれる墨付きの繊維群・紙片の分析、X線分析装置を用いた非破壊検査の実施など、分析・解析技術の高度化を推進し、マテリアルデータをメタデータとして整備することを目指している。

国立天文台では江戸幕府天文方の所蔵していた和漢書を中心に所蔵。宇宙そのものが古文書であるという言葉が印象的なように、古来では「暦(れき)」は農耕や政治、経済、占いなど、その周期を意味づけし、因果関係をつけてきた。近代では天文観や宇宙観、楽しみとしての星座占いといったように、暦は実利的な面だけではなく、精神的な面でも宇宙と繋がっていると説明があった。

空間3次元と時間1次元を合わせた(4次元)宇宙を、デジタルデータで可視化した4次元デジタル宇宙「4D2U」を体験するとともに、国内では最も大きな口径の屈折望遠鏡で国の登録有形文化財でもある65cm屈折赤道儀室望遠鏡などを視察した。

今回のサイトビジットで得られたアイデアや意見を踏まえ、4機構らしい異分野・新分野創成がどういったものか探るため、参加者の熱が冷めないうちに改めて議論したいとする声があがるなど、この先にあるフロンティアコロキウムへの期待が大きいことが確認された。

(文・写真:本部広報室 樋口 徹 公開日:2025/3/25)

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