機構長からのメッセージ

データ中心科学の確立へ向けて。
北川源四郎
北川源四郎
情報・システム研究機構 機構長

私たちの住む現代社会は、情報通信技術(ICT)の飛躍的発展を背景に、かつてない大きな変革の時期を迎えています。特に近年は、社会のあらゆる場面で時々刻々と大量の情報が、ほとんど自動的に取得されるようになり、「ビッグデータ」と呼ばれる時代が到来しています。

ではビッグデータ時代は、科学にとってどんな時代なのでしょうか? そもそも、人類が発展させてきた科学技術の基本的な方法は、ニュートンが「巨人の肩」と呼んだ知識・経験の蓄積を背景とした「理論」と「実験」によるものでした。そして前世紀半ば頃からは、コンピュータの発達に伴い「計算科学」が大きく発展してきました。そして今、膨大なデータに何を語らせることができるのか、第4の科学ともいわれる「データ中心科学」の確立が急がれています。

このような時代にあたり、情報とシステムという観点に立ち、自然から人間・社会に至るあらゆる現象の基本原理の解明にアプローチする本機構では、データ中心の考え方をまさに中心に据えて、これまでのプロジェクトで開拓してきた新領域融合研究を継承・発展させる新たなプロジェクトとして「リサーチコモンズ事業」を平成25年度よりスタートしました。新時代の学術研究へ向けた情報・システム研究機構の挑戦に、皆様のご支援を心よりお願い申し上げます。

大学共同利用機関として──

情報・システム研究機構は、現代社会が直面する複雑な問題を情報とシステムの観点から捉えようという理念のもとに、国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所が結集して、2004(平成16)年に設立されました。大学共同利用機関として、それぞれの研究者コミュニティを持つ各研究所において先端的かつ融合的な研究を推進し、共同利用・共同研究促進の役割を担っています。